8Nov
デイサービス等、介護の送迎業務において、具体的にどのようなヒヤリハットが発生しているか? その影響範囲はどこまで及ぶか? 対策をどのように打っていけばよいか?
具体的なサンプルをもとに、紐解いていきます。
送迎車を運転中、道路には様々な障害物が落ちていたり、路面状況が悪化していたりします。
状況の悪い道を走ると、時間の遅延が発生するだけでなく、運転ミスによる事故を起こす可能性が高くなります。また、車が揺れたり跳ねたりすると、乗客の身体に負担を掛けます。特に、車椅子の方は、クッション性の低い車椅子に座っているので、ダメージが大きくなる危険性が高いです。
- 道路の路面状況が悪い
- いつも通ってる道路が通行止め状態
- 対向車とよくすれ違う狭い道
- 狭くて急な曲がり角
- 急な坂道
- 暗くなると危険な道
- 雨・雪による路面悪化
- 運転を妨害する自然物
これら、悪条件の道路を運転した際、どのようなリスクが発生するか? 実際のヒヤリハットを元に、見ていきましょう。
交差点を右折する際に道路が思った以上にガタガタであった為、車体が揺れてしまった。
●●自動車学校前の坂道、工事中であったためか、でこぼこしている箇所あり。
●●様に向かう神社前にて大きな凹みがある、通行する際は注意されたし。
久々に通った道路で、くぼみに気付かず車両の揺れが激しかった。車椅子の方に衝撃になってまった。早めの道路状況確認が必要と思った。
道路は平らであるべきですが、実際にはそうなっていないことも多いですね。
危険性が高くて、なるべく通るべきではない道は、各送迎ドライバーが報告し合って、事業所内で積極的に共有していきましょう。送迎ルートを組むときに、その道を通らないルートを組んでしまえば、危険性は完全に排除できます。
とはいえ、現実には、どうしてもその道を通らざるを得ないことも多いと思います。
道の凸凹を確認したら、速度を落として、なるべくゆっくり通りましょう。通った後は、ルームミラーで乗客の様子を確認できればより良いでしょう。
道を譲って待ってくれている車に気を取られてしまい、左側にあった凸凹に気が付かなかった。揺れてしまった。
アパート横の道に入ろうとしたらオートバイが止まっていて、オートバイの横から曲がって入ろうと右側に大回りして進んだら、右タイヤが溝にはまってしまった。
特に、合せ技には注意して下さい。対向車が道を譲って待ってくれていたり、後続車が後ろにピッタリ張り付いていたりすると、急かされてプレッシャーになりますが、慌てて車を動かすと事故の危険性が大変高くなってしまいます。
信号の切り替わりに注意が行ってしまって、路面状態の注意が疎かになってしまうのもよく有ることですね。
いつも、使用している道路が、通行止めだった。
道路が工事により塞がれていたため迂回した。
●●様自宅前の一方通行が工事中で通行止めだった。一方通行終わり地点まで送迎車を移動し、歩いてご自宅までお送りしました。
道路工事などで、いつも通る道が通行止めになってしまうのも困りものです。
これも事業所内で情報共有し、いつからいつまでその道が通れなくなるのかを確認して、その間の代替案を予め用意しておくと、送迎運転最中に慌てず心の余裕が持てるようになると思われます。
●●様のお宅の前のヘアピンカーブの運転が難しく、集中が必要だった。
センター前の道路が緩いカーブになっているため、道路の端を走っているバイクや自転車がいて避けた場合、前方から来た車等に接触する危険性がある。
●●様の送迎に行く際に、道幅が急に狭くなりカーブで対向車が見えにくい。
急カーブでは、ハイエースなどの大型車では特に曲がり辛いため、しっかりと減速して通行する必要があります。
また、見通しが悪くなるので、対向車との衝突リスクも大幅に高まります。自転車の通行が多い道などは特に、自転車を追い越して膨らんでセンターラインをはみ出した対向車が、急に突っ込んで来ることがあります。実際に起こってしまうと回避困難な事案ですが、カーブミラーを見て危険予知をすることによって回避できるシーンも多いです。
住宅街の狭いカーブでは、カーブの影の死角から対向の歩行者が出てくることもあるので、要注意です。集団で談笑しながら歩いてたり、犬連れだったりすると、結構な幅を取ってます。
朝の送迎で、●●様宅にむかう途中の道では他施設の車とすれ違う。道幅が狭くてこすりそうだった。
●●さま方面、二ヶ所片側交互通行がある。要注意。
ハイエースで送迎中、右の前を気にしていて左折したところ、左が物凄くぎりぎりになってしまいぶつかりそうになったが、なんとか回避した。
住宅街だと特に狭い道が多く、迂回ルートも見つからないことも多いですよね。
慌てずに、できるだけ速度を落として安全運転を心掛けるという基本に立ち返るようにしましょう。道幅の広いすれ違いポイントの場所を予め知っておくと、心にゆとりをもってすれ違いができるようになるかと思います。
●●様宅前に続く道に入ろうとしたところ、民間の交通ボランティアの方に止められる。聞けば、そこは時間帯で通行禁止の道であった。
●●様宅のお迎えが8:23着となっていましたが、スクールゾーンの為、8:30まで通行禁止でした。しばらく待機。
送迎時間がずれたりすると、いつも通ってた道が通れなくなることもあります。意外と気が付かずに見逃してしまうので、注意が必要です。
本日新規のお客様のお迎えにお伺いした際、自宅前の坂道がかなり勾配が急な坂道で、ハイエースで上がるのが難しい状態なので苦労しました。
帰りの送迎時、初めて行く所で確認したルートの所が工事中で通れなく回り道をしたがわかりづらく迷ってしまった。
新しく訪問する新規のお客様が増えたときには、余裕があれば送迎ルートの下見をしたほうが良いでしょう。ハイエースなどの大型車では危険性が高く、途中で諦めて引き返して改めて軽自動車でお迎えに行った、と言ったような事例も発生しています。
5時を過ぎると暗くなり山道に街灯もなく道が見えにくく怖かった。
帰りの送迎●●様。暗くなり道幅の狭い道をバックで上らなければならず、何度も坂道切り替えしながら登った。
暗くなってくると●●さん家の道路の畑との境がわかりづらくなる。
夜になると危険度が跳ね上がる道にも注意が必要です。
- 外灯が無くて道が暗い
- 車道の脇にフタのしてない側溝がある
- 車道の脇が畑や田んぼ
- 住宅街の影から出てくる黒い服の酔っぱらいやランナー
- 掠れて見えづらい一時停止線
- バック時に距離感の掴めない後方
前もって昼間の間に運転して予習をしておけば感覚が掴めることもありますが、通い慣れた昼間の感覚で夜に通行しようとして足をすくわれるパターンも多いですね。
●●学校付近、雨上がり大きな水たまりが路肩に多くありました。注意してください。
●●さまの自宅近くの坂道は、天候がよくない日は暗く濡れているので滑りやすくなっていた。
雨が降ると危険度が跳ね上がる道にも注意が必要です。
- 道路の凸凹での細かい水たまり
- 線路の下などのアンダーパスは大きな水たまり
- 滑りやすくなる道路
- 滑りやすさが格段に高まるマンホールやクレーチング
- 滑りやすさが格段に高まる濡れ落ち葉
- 傘で幅が膨らむ歩行者群
視界を邪魔する雨粒とワイパーでも集中力が遮られるので、雨の日は特に注意しての運転が必要になります。
また、自動車のタイヤが摩耗して溝が無くなってツルツルの状態だと、滑りやすさが格段に上がるので、タイヤ交換のメンテナンスをきちんと定期的に行うことも事故防止に大事です。
雪道の為、タイヤが滑り、ハンドルもとられた。
帰りはとても冷え込んでいて道路もブラックアイスバーンのところが、所々にあった。大丈夫!と思うと滑るので常に大丈夫じゃない!!と思って走行した
送迎中、雪の積もっている車道が平らに見えた。近づくに連れ、穴が空いていることを確認。道幅も狭く右にも左にも寄れない。上り坂で、滑るため、穴をよけきれなかった。
雪の日に関しては、雪国のドライバーの方は危険性は十分に承知かと思います。チェーン装着などの必要性についても、改めて注意を促す必要もないことでしょう。
ただ、雪の日の自動車運転に慣れてない新人ドライバーに関しては、専用のトレーニングを事前に行ったほうが良いかと思われます。
センター出てすぐのT字路、右側畑のとうもろこしがすごく伸びており、車が来るのが見えなくなっているので危ないと感じた。
T字路の所の家の木の葉っぱが茂っていて、ミラーから車が見えなくて、いきなり車が見えてビックリした。
●●様宅の庭スズメバチのような蜂が3、4匹飛んでいるので注意。
伸びた街路樹や植木などの植物によって、いつもの道の視界が遮られるようになるのは、特に春先~初夏のあたりで毎年発生しますね。
原則としては注意して運転するしかないですが、自治体管轄の植物については、自治体に対応を促すようにしてもいいかもしれません。
スズメバチなどの危険生物については、特に注意して積極的に事業所内での情報共有を行うべきです。要介護の利用者の方を支えながら移動してる最中に襲われたりすると、大変危険でどうしようもありません。
どのようにすれば事故を防げるでしょうか?
- 危険性が高い道を把握しましょう
- 工事や通行止めなどの情報を把握しましょう
- 各送迎ドライバーが報告し合って、事業所内で積極的に共有していきましょう
- 送迎ルートを組むときに、危険な道はなるべく避けましょう
- 見通しの悪い状況では、入念な安全確認と低速での注意運転を行いましょう
- 雨の日・雪の日特有の要注意ポイントを把握して、特性に合った注意運転を行いましょう
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